瀧川直史

旅行

バカたちがやってきた ②

もうだいぶ、月日が過ぎてしまったが、再びバカたちのことを書こうと思う八ヶ岳の私の山荘に、大学の友人、いわゆるバカたちがやってきたという話だった。メンバーの主力が来る前に、極めつけのおバカ二人が、一日前にやってきた。一人は、酒乱のM、大学一年...
旅行

ひとすじの道 ⑪

2020年 12月26日 辰野~諏訪湖~松本 40㎞ 8h辰野の町から望む空は、青く澄みわたっていた。道は天竜川とJR中央線に沿って進む。やがて、川は、その流れを緩やかにして、少し緑色の水をたたえた運河のような様相だ。あちこちで、カワウや野...
旅行

日曜日の次の日には

昨日の日曜日は、妻の三回忌でした。妻と別れてからもう2年が経とうとしています。長い長い闘病の果てに「もう、眠ってもいいの」「ごめんね、楽になっていいんだよ」それが、私たち夫婦の最後の会話でした。ずっとずっと、私のために生きてくれと言い続けた...
旅行

ひとすじの道⑩

2020年 12月25日 駒ヶ根~辰野 37㎞ 8h駒ヶ根のホテルから望む中央アルプスは、濃い雪雲に包まれていた。今日は一日こんな天気なんだろうか。しばらく見つめていると、雲がゆっくりと動いているのがわかる。やがて、青空がのぞくかもしれない...
旅行

豊橋 街歩き2 記憶の風景(5) 松葉町 豊橋市民病院

豊橋市民病院が郊外の青竹町に移転してから、どのくらいたっただろう。新市民病院では、妻の闘病中、たいへんお世話になった。休日には、二人で屋上から海を見たり、誰もいない外来待合室を散歩したり、たまには一人で海まで散歩したりした。そして、最後の一...
旅行

ひとすじの道⑨

2020年 12月24日 飯田~駒ヶ根 35㎞ 7h私は再び、ここにやってきた。このひとすじの道に。青い空には、すじ雲がかかり、数時間後の天候の悪化を予感させていた。穏やかな起伏が続く伊那谷の丘は、田畑の枯れ草の色と、杉林のくすんだ緑と、そ...
旅行

豊橋 街歩き2 記憶の風景(4)豊橋公園界隈

豊橋 街歩き2 記憶の風景(4)豊橋公園界隈街には、もう立ち止まってしまったり、風景としては消えてしまった。そういう記憶がある。豊橋公園周辺には、たくさんの記憶が残っている。その昔、吉田城は広い縄張りを持ち、城下町を従えていた。本丸の石垣、...
トレッキング

バカたちがやってきた①

これは映画のタイトルではありません。八ヶ岳の山荘はもともと私好みに一日を過ごせるようにと、自分の好きな絵がそこかしこにあって、大好きな交響楽や弦楽奏の音色が建物の梁や柱を震わせ、引きたてのコーヒーの匂いがほのかにただよう。そんな空間を作ろう...
旅行

ひとすじの道 ⑧

2020年 12月13日 温田~泰阜村~飯田 30㎞ 6h天竜川沿いの谷間は白い霧で埋め尽くされていた。その白い空間は、淡くただよい、やがて、朝の光を受けいれて、かすかに輝こうとしていた。風が流れ、空気が動き始めると、あちこちで、緑の木々や...
旅行

ひとすじの道⑦

2020年 12月12日 伊那小沢~天龍村(平岡)~温田 16㎞ 3h平岡の町は朝日に輝いて見えた。それは、伊那小沢駅を出発した頃の寒々した雲が去り、山の端から太陽が顔を出したことよりも、そこに住む人々の生きている、その輝きを見ることができ...